♪竹田えり(えりりょん)の「極上機嫌でいこう!」

作曲家・声優・ファミリーコンサート等で活動している竹田えりのブログです。

■本 「野ブタ。をプロデュース」

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■本:野ブタ。をプロデュース

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フォトリーディングレビュー

小説が続きますが、この本を…。

野ブタ。をプロデュース

21歳の新鋭 白岩玄の第41回文藝賞受賞作品です。

(題名の「野ブタ」の後に「。」がついているところに意味があります)

「プロデュース」という事に興味があり読みました。

野ブタ。をプロデュース
白岩 玄

河出書房新社
2004-11-20
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桐谷修二(高校2年)のクラスに転校して来た「信太(しんた)」

太っていて、よれよれ、頭はわかめヘアーでフケまじり。

オドオドしていて、またたくまにいじめられっ子になる。

その信太を偶然、不良たちから助けたことで、主人公の桐谷修二(クラスの人気者)は

「弟子にしてください!」と切羽詰った信太から懇願される。

その信太に対して、修二は

「弟子はお断り、でも、君がクラスの人気者になるように僕がプロデュースしよう」と提案する…!?。

実は、修二本人が、自分の心の中で「桐谷修二着ぐるみショーへようこそ!」と

つぶやいてから、親やクラスメートに自分自身のキャラを演じているような

誰にも本当の自分は見せない、そんな人間だったのだ。

それも完璧に人間関係を計算して、気の効いたボケや突っ込みを発し、

人気ものの地位を築いている、醒めた人間…。

勉強もでき、人間心理も読め、なんでも器用にこなしてしまう修二。

その修二からのプロデュースという提案を、意味がよくわからないまま、

「なんとか現状を脱したい!」と受け入れる信太。

ここに契約は成立。

修二は本名の「しんた」を読み替え、野ブタと命名。

クラスの誰も知らない秘密裏のプロデュースが始まるのだった。

修二は「つんく」ばりに色々なトラップを、その舞台であるクラス内にしかけていく。

面白いようにプロデュースが功を奏して、だんだんクラスの中で変わっていく野ブタ

手のひらの上で思うように転がる世界(野ブタとそれをとりまくクラスメートたち)を

完全に操れている征服感に満足する修二。

なにもかもうまくいってるようだった。

しかし、破綻は訪れる…。

Amazonの「出版社からの内容紹介」では

舞台は教室。イジメられっ子転校生(キモチ悪いほどおどおどしたデブ)を人気者に

すべく、オレはプロデューサーを買って出た! 「『セカチュウ』で泣いてる場合で

はない、『野ブタ。』を読んで笑いなさい」と斉藤美奈子氏絶賛、第41回文藝賞受賞

作!「大した才能だよ。期待してるぜ、白岩玄。」(高橋源一郎氏)

と書いてあるが

私は笑うより、せつなかった。

主役の桐谷の心の痛み。

自分でも気づいてなかっただろう赤子のような無垢な部分を

抱きしめてやりたくなりました。

しかし、白岩玄の感性は凄い。言葉ひとつひとつが「今」という時代を

彼独特の感覚で、しかもあの年代の「標準文化」として生き生きと飛び跳ねている。

これから注目の作家だろう。

しかしやっぱり小説は時間がかかる。

フォトリーディングを習ってからは

ビジネス本なら、だいたい1時間で読めるようになったけど

小説は2~3時間かかっちゃう。

小説も早く読める速読法ってあるのかなあ…。